松平楽翁公が語るところによれば、「高きもの一富士、二鷹、三なすび」といいますが、富士山は日本一高い山、鷹も高いところを飛ぶので分かりますが、ではなんでなすが高きもの?・・・なのか、理解に苦しむところです。これは「成す」つまり、高い目標も成就する、というところに引っかけた表現のようです。半面、昔は6、7月にどっと出回ったために、2束(200個)でたったの3文=2束3文にしかならないという汚名もちょうだいしています。
原産国はインドで、奈良時代に中国との文化交流がもとで渡来したことから「奈須比(なすび)」と呼ばれ、既に栽培されていたという記録があるほど歴史の古い、代表的な果菜類です。また、消費が平準化した現在でも地方色が強く、各地方に独特な品種があります。1月〜4月頃の冬中心のなすは、九州・四国産の長大形、極大のもの。6月〜9月頃は、関東ではやや小形の卵形、関西では中長形、球形のものが主流となります。
主成分はビタミンC、B1、鉄分、カルシウムなどで、栄養価はそれほど高くありませんが、独特の口当たりと色つやの美しさが好まれ、食卓をにぎわしてきました。なすには身体の熱を冷ます働きがあり(これはなす科の植物共通の働きでトマトにもあります)、その他に、消炎、活血、解毒作用および、痛みを静める働きがあります。そうした働きを利用して昔から民間療法薬として欠かせないものでした。
▽皮膚のただれ・水虫・・・生をつぶして直接患部に貼る。
▽虫歯の痛み・・・60%医療用アルコールになすのへた100gを入れ、蓋をして1週間おき、脱脂綿で浸し虫歯につめる。
▽脚気・利尿・・・なすの花を陰干しにして煎じ、その汁を服用する。