永山久夫の食べて100歳

日々、元気に過ごすことは誰もの願い。そんな願いをかなえるべく、自分の心と体、食生活とじっくり向き合ってみたくなるお話をどうぞ。

第25回 「サケの赤い色素が若さを呼ぶ」

秋が深まると、野にも山にも、海にも川にも、美味珍味が出盛ります。サケもこの季節になると、海を何百キロにも泳いでふる里の川に戻ってきます。

「秋味」とも呼ばれ、アイヌの言葉では「カムイチェプ(神の魚)」ともいうそうです。まさに、神秘的なエネルギーを身につけた魚といってよいでしょう。

毎年、義理がたく群れをなして川をのぼるサケは沿岸の人たちにとってはあてにすることのできる、秋のご馳走でした。大量にとれるために日干しにしたり、塩引きにして保存しました。後者は弁当のおかずの定番となり、サケ茶漬けを生んだのです。サケは古くからお歳暮の主役であり、お正月の祝い魚として欠かせません。

サケの場合、肉食の赤さが他の魚とはちがった、神聖でおめでたい魚とみられていたのです。 赤い色には厄よけの効能があるとか、幸運を呼び込むパワーがあると信じられてきました。

この赤い色素が、いま注目されているアスタキサンチンという強力な抗酸化物質で、脳や体の細胞を防ぐ成分。つまり、老化を防ぐ強い作用があるので、生涯現役で長生きする上では、たいへん心強い味方といってよいでしょう。

サケの脂質は優秀で、血栓の発生を防いで血液をサラサラにする成分や、記憶力や学習能力などを高める物質なども含まれています。魚を食べているお年寄りにはアルツハイマー型の痴呆症になりにくいともいわれ、注目されています。無駄の出ない魚で頭部から尾まで食べることができます。


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