日々、元気に過ごすことは誰もの願い。そんな願いをかなえるべく、自分の心と体、食生活とじっくり向き合ってみたくなるお話をどうぞ。
第61回 「望月(十五日)の赤まんま」
日本人にとって、赤は特別な力を持った色でした。病気や悪霊を防ぐ厄除けの色であり、幸せや福を呼び込む、おめでたい色だったのです。
このため、お祭りや大切な行事のある日には、決ってお赤飯を炊いて祝いました。小豆を用いて赤く染めたおこわは、今でも結婚式やおめでたいことある日には欠かせません。
一月十五日には「小豆粥」を食べる習慣がすでに平安時代には行われています。『枕草子』には「もちがゆ」とありますが、十五日の満月の日に食べる「小豆がゆ」のこと。同じ平安時代の『土佐日記』には「小豆がゆ」とあります。
民間でも、旧暦の一日(新月でまっ暗闇)と満月の十五日には、白い米に赤い小豆を混ぜて炊く、「赤まんま」を食べる習慣がありました。今でも京都や地方の農家などでは、「赤まんま」の風習が残っています。つまり、お祭りのなどの他にも、月に二回「赤まんま」を食べる習慣があったのです。土地によっては、年越しに食べる所もあります。
小豆の主成分はデンプン質とタンパク質ですが、疲労回復や記憶力をよくするビタミンB1が豊富。
ビタミンB1は脳のエネルギー源となるブドウ糖の代謝を活発にする上で不可欠で、不足すると集中力が落ちたりイライラしたりします。お赤飯は超情報化時代の"頭脳食"といってよいでしょう。おこわにはゴマ塩がつきもの。ゴマにはビタミンB1に加えて抗酸化成分がや若返りのビタミンEもたっぷりです。