日々、元気に過ごすことは誰もの願い。そんな願いをかなえるべく、自分の心と体、食生活とじっくり向き合ってみたくなるお話をどうぞ。
第66回 「むぎ茶で夏も元気」
夏のドリンクといえば、古くからよく冷やした「むぎ茶」がよろこばれてきました。炒ったオオムギを熱湯で煮だし、冷たくしたものです。
かすかな甘味があり、こうばしい香りとともに、暑い夏には欠かせません。江戸時代には「むぎ湯」と呼ばれ、庶民の飲み物として人気がありました。
現在は、自家製のむぎ茶は、冷蔵庫で簡単に冷たくできますが、昔は、井戸の中につるしたり、瓶などに詰めたむぎ茶を流水や湧き水などにつけておいて冷たくしたものです。
江戸時代の「むぎ湯」は、煎茶が普及する前、すでに飲用されており、江戸時代の中期以降になると、江戸の町にはむぎ湯専門の店も登場し評判になっています。
子どもたちには砂糖入りの甘いむぎ茶がよろこばれ、その人気は、今でもおとろえていません。
夏バテ防止や熱中症の予防にも、積極的に利用したい自然派の健康ドリンクです。
水分補給に役立つのはもちろんですが、ムギにはカリウムやマグネシウムも多く、血液をサラサラにする作用が期待できるのです。
暑くなると汗をかきます。体内のカリウムが汗といっしょに失われてしまいます。すると筋肉の働きが低下し、力が出なくなり、疲れがたまって夏バテが起こります。夏バテはビタミンB1が不足しても発生しますが、むぎ茶にはカリウムもビタミンB1も含まれているのです。夏場にはもっともっと活用したい元気の出る飲みものといってよいでしょう。