日々、元気に過ごすことは誰もの願い。そんな願いをかなえるべく、自分の心と体、食生活とじっくり向き合ってみたくなるお話をどうぞ。
第70回 「サケでいつまでも若々しく」
寒くなって、北風が吹く頃になると、北日本の河川にがサケが群をなしてのぼってくるのです。山の紅葉を待っていたように、産卵のためにやってきます。
雪が積って、食べ物が不足する季節を前にやってくるサケは、神の恵ぐみのようにありがたい動物性タンパク質でした。
しかし村の人たちは、必要な分だけ獲り、決して乱獲はしませんでした。
川上にはいくつもの村があり、みんなサケを待っているからです。
「神さまから授けられた魚」として大切にあつかったのです。
サケはたくさんとれたので塩引きにして保存し、神さまにお供えしたり、お正月のご馳走にしたりしました。
サケは脂がたっぷりのっていて、焼くととってもうまい。
学校の弁当のおかずの定番で、お昼になって、「いただきまァース」とふたをとると、おかずは全員が塩サケ。
会社勤めのお父さんの弁当も、お姉さんの弁当も、おかずは全部塩サケでした。
今でもサケは朝食の定番ですし、サケ弁当やサケおにぎりもコンビニの人気ランチ。
サケの赤い肉質を作っているのは、アスタキサンチンという天然色素で強い抗酸力を持っています。
細胞の酸化は、老化の始まりですから、それを防ぐ働きがあるということは若さを保つ上で重要です。
生涯現役で長生きする上では、大変に心強い魚といってよいでしょう。
サケの脂質には、物忘れを防いだり、血液のサラサラ効果を高める働きをする成分も含まれています。