日々、元気に過ごすことは誰もの願い。そんな願いをかなえるべく、自分の心と体、食生活とじっくり向き合ってみたくなるお話をどうぞ。
第76回 「ナスの田楽は夏の美肌食」
ナスは漬けても、煮ても、焼いても美味であり、夏の代表的な野菜です。
江戸時代に、ナスを使った面白い料理がありました。
「茶筅(ちゃせん)なす」です。
皮のついたままのナスに、たてに包丁目を入れ、ちょうど茶筅の形のようにして、甘辛く煮付けたもの。酒の肴はもちろん、夏の主菜として、子供から娘たち、お年寄りにまで好まれた料理です。
夏のナス料理として、同じ位に人気があったのが、ナスの田楽。
ナスに串をさし、油を塗って焼き、さらに味噌をつけてさっとあぶって仕上げたもの。江戸の町では、豆腐のでんがくといっしょに並べて売られていました。
どちらも人気のファーストフードであり、次のような川柳があります。
「田楽のそばで茄子に羽がはへ」
ナスの出回る季節になると、豆腐のでんがくよりよりも売れ行きがよかったようで、それを「羽がはえたように売れている」と表現。
豆腐に味噌をつけて焼いたのが、
豆腐のでんがくです。
ナスは刺身にも用いられており、二通りの食べ方があります。皮のついたまま火であぶり、
皮をむいて刺身のようにきり、からし味噌をつけて食べる方法。
もうひとつは文字通りの生で食べる刺身。
皮をむいて細切りにし、からし醤油で食べます。どちらも、マヨネーズをつけて食べると、
ナス特有のさわやかな味がさらに引き立ちます。
ナスの美しい黒紫の色素はアントシアニンで、ポリフェノールの一種。
紫外線からお肌を守る抗酸化成分として注目されています。